素直になれない
信じられない。
本当に連絡も来ない。
いつもは自分から送っているけど、
今回は絶対送らない。
電話もかけない。
そんなこと言って意地を張ってる間に
2週間が過ぎ、
気付けば今日は蒼也のお誕生日。
盛大にお祝いして
大好きだよって、伝えたかった。
最近仕事詰めだった蒼也に
リラックスしてもらおうと考えてた。
こんなはずじゃなかったのに。
…蒼也に会いたい。
だけど今日は出張って言ってたし、
会えないよね。
悶々としていると気付けばもう夕方。
蒼也からの連絡はない。
はあー、ダメダメ。
すっぴんでゴロゴロうじうじ悩んで、
マイナスなことばっかり考えてしまう。
コンビニでも行こ。
家の中にいると、ずっと考え込んでしまう。
「よ、どこ行くん?」
扉を開けて外に出て、鍵を閉めていると
そこには丁度お向かいの扉を開けた理玖。
「あ、理玖。
ちょっとコンビニ行こうと思って。」
怪訝な顔をしながら家の方に歩いてきた。
「相変わらず暗い顔してんなー。」
「もう駄目かも。ほんとに。」
「何?彼氏?また喧嘩したん?」
また、って。
もう喧嘩も出来ないくらいだよ。
「ほんと、やばい。
前の喧嘩から会ってないし、連絡もない。」
「紫から連絡は?」
「してない。」
「あーもうお前ほんと分かってねーな。
とりあえず飲むぞ。来い。」
そのまま有無を言わせず
家の近くの居酒屋に。
「いらっしゃーい、あら!
久しぶりのペアじゃないのー!」
学生の時によく飲みに来ていたこのお店。
ママさんとマスターのご夫婦二人で
こじんまりとしたお店だけど
地元に愛されている、大好きなお店。
「久しぶりです、
こいつめっちゃ落ち込んでるから
なんかママの一押しの美味いもん
食べさせてやって下さい!」
二人定位置でもあるカウンターに座る。
「あら、紫ちゃん。なんかあったの?
今日のおススメ持ってくるわね!」
と、いそいそと
カウンターの中に入っていくママ。