素直になれない
お昼を過ぎでも鳴らないスマホ。
「よしっ!」
準備をして家を出る。
蒼也の家に行くことにした。
ここにいて悩むより、蒼也を家で待とう。
電車に乗り、彼の家の最寄りに着いた時
電話が鳴った。
画面には愛しい彼の名前。
「…もしもし?蒼也?」
「あの!…すみません。
わたし蒼也の母です。
紫さん?ですよね?
蒼也とお付き合いなさってる。」
まさかの相手に
スマホを落としそうになった。
「あ、はい。あの、初めまして。」
「突然ごめんなさい。
実は蒼也、事故にあって
今病院に居ます。」
「…え?事故?ですか?」
「昨日の夜、前方不注意の車に
轢かれたみたいです。
命には別状はないそうなんだけど、
まだ意識が戻ってなくて。」
信じられない、
全身の血の気が引いていく。
「病院、行かせていただいても
よろしいですか?」