素直になれない


蒼也のお母さんから聞いた病院へ
急いで向かう。

病室に着くと、頭に包帯を巻き、
体からは色々な線が出ている蒼也が
目をつぶってベッドの上で寝ていた。

「…蒼也!!!」

「紫さん?来てくれてありがとう。」


「本田紫です。
ご連絡ありがとうございます。

蒼也さんは…、」

「大丈夫。きっと大丈夫。

ねえ、蒼也!
紫さん来てくれたわよ!
寝てる場合じゃないの!」

蒼也のお母さんの言葉に
自然と涙が溢れた。

「…今日そばにいてもいいですか?」


「え、紫さん!
泣かないで。きっとすぐ目を覚ますから。」

焦る蒼也のお母さんに
正直に話すことを決意して

「実は、少し前に蒼也さんと
喧嘩をしてしまったんです。
意地を張って謝れないままで、」

そう言うと、優しい顔で

「そうなのね、
じゃあそばにいてあげて?
目を覚ました時
あなたがいたらきっと元気になるわ。」


「…ありがとうございます。」

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