素直になれない


静かに眠る蒼也を見た。
顔にも傷がある。

痛かったよね、、。

蒼也の手を握りその手に顔を伏せた。

あったかい。



しばらくすると、看護師さんが病室に、
わたしは疑問だったことを聞いてみた。

「すみません、あの。
どこで事故にあったんですか?」

「場所まではきちんと把握してませんが
ここに運ばれたので
そう遠くはないと思いますよ?」

「…ありがとうございます。」


あれ?蒼也昨日から出張って言ってたのに、
どうしてこっちに居たの?


「職場の方がおっしゃってたんですけど、
大切な方に会いに夜のうちにこっちに
戻って来られたんですよね?
お会いする前に事故に遭われたんですか?」

「え、それ。」

「ご存知なかったですか!?
すみません!
聞かなかったことにしてて下さい!」

そう言うとそそくさと部屋を出て行った。



依然として眠り続ける蒼也。

「そ、や。ごめん、ね。
もう、わがまま言わないから、
お願い。ねえ、目覚ましてよ。
お誕生日でしょ、お祝い、させてよ」


理玖やママ、マスターの言葉が
脳裏に過ぎる。

もっと早くわたしから連絡してれば
ごめんね、って言ってれば
違うかったのかもしれない。

「ごめんね、本当にごめんね。」
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