水月夜
じつはこの高校に入るまで女子バレー部に入っていたが、高校ではもっと充実した生活を送りたいと思って高校入学直前にイメチェンしたのだ。
いわゆる高校デビューというものだ。
今のところうわべだけの友達がほとんどで、本当の友達はほんの少しだけだけど。
千尋は“本当の友達”と呼ぶべき存在だ。
ニコッと満面の笑みを浮かべたのを見た千尋が私の顔を覗き込むようにしてかがんだ。
「そうだったね。だから梨沙は速いんだったね。私ってばすぐ忘れちゃうから、笑っちゃうよね」
「まぁ、千尋が忘れっぽいのは否定しないけど」
「えっ、そこはフォローしてくれないの⁉︎」
「ごめんごめん。だけど千尋は私の大好きな友達だもんね!」
「ありがと、梨沙! 私も大好きだよ!」
ふたりでそんな会話をしながら階段を下りていき、ローファーにはきかえて校舎を出た。
途中で直美たちとバッタリはち合わせするのではないかと内心ヒヤヒヤしていたが、3人とはち合わせすることはいっさいなく学校を出られた。
もし直美たちに出くわしたらどうなっていたか。
たぶん3人は、私と千尋が一緒にいることを知らないだろうし、知っていたとしても千尋のことをよく思わないだろうな。
いわゆる高校デビューというものだ。
今のところうわべだけの友達がほとんどで、本当の友達はほんの少しだけだけど。
千尋は“本当の友達”と呼ぶべき存在だ。
ニコッと満面の笑みを浮かべたのを見た千尋が私の顔を覗き込むようにしてかがんだ。
「そうだったね。だから梨沙は速いんだったね。私ってばすぐ忘れちゃうから、笑っちゃうよね」
「まぁ、千尋が忘れっぽいのは否定しないけど」
「えっ、そこはフォローしてくれないの⁉︎」
「ごめんごめん。だけど千尋は私の大好きな友達だもんね!」
「ありがと、梨沙! 私も大好きだよ!」
ふたりでそんな会話をしながら階段を下りていき、ローファーにはきかえて校舎を出た。
途中で直美たちとバッタリはち合わせするのではないかと内心ヒヤヒヤしていたが、3人とはち合わせすることはいっさいなく学校を出られた。
もし直美たちに出くわしたらどうなっていたか。
たぶん3人は、私と千尋が一緒にいることを知らないだろうし、知っていたとしても千尋のことをよく思わないだろうな。