水月夜
直美と仲がいいから『今日は一緒に帰ろう』と誘うのかと思いきや、緒方先輩が慌てて私と雨宮くんの背中を押した。
体は緒方先輩の手の力に押され、直美の姿がだんだん遠ざかっていく。
視界に直美の姿が映った数十秒後、私と雨宮くんは化学室の中まで連れてこられた。
最後に化学室に入った緒方先輩が静かにドアを閉めた直後、教室の外からここに連れだすまで表情を見せなかった先輩が顔をあげた。
なぜか顔は青ざめており、必要のない深呼吸をしている。
偶然こちらを見た雨宮くんと目を見合わせる。
数秒ほど雨宮くんと見合わせたあと、緒方先輩が口を開けた。
「あのさ、柏木ちゃんと雨宮くんにお願いしたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「俺、大坪さんと連絡先交換したんだ」
それは知ってる。
前に直美から『連絡先交換した』と聞いたから。
知っていた私はとくに驚かなかったが、連絡先の交換をしたことを聞かなかった雨宮くんは少し驚いている。
体は緒方先輩の手の力に押され、直美の姿がだんだん遠ざかっていく。
視界に直美の姿が映った数十秒後、私と雨宮くんは化学室の中まで連れてこられた。
最後に化学室に入った緒方先輩が静かにドアを閉めた直後、教室の外からここに連れだすまで表情を見せなかった先輩が顔をあげた。
なぜか顔は青ざめており、必要のない深呼吸をしている。
偶然こちらを見た雨宮くんと目を見合わせる。
数秒ほど雨宮くんと見合わせたあと、緒方先輩が口を開けた。
「あのさ、柏木ちゃんと雨宮くんにお願いしたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「俺、大坪さんと連絡先交換したんだ」
それは知ってる。
前に直美から『連絡先交換した』と聞いたから。
知っていた私はとくに驚かなかったが、連絡先の交換をしたことを聞かなかった雨宮くんは少し驚いている。