水月夜
その事実を知らされても少ししか驚かなかったのは、そこまで驚くべきことではない事実だったからだろう。
私たちの反応を軽くスルーして、緒方先輩は話を続ける。
「連絡先を交換しようと大坪さんから言われたときはびっくりしたよ。でも彼女の頼みを断ったら大坪さんを傷つけてしまうと思ったから交換したんだ」
「…………」
「だけど、それは間違ってたかもしれない。交換したあとの大坪さんは上機嫌で俺の彼女のように振る舞ってたのを見たから。俺、大坪さんのことを異性として見てるわけじゃないのに」
たしかに緒方先輩と連絡先を交換したあとの直美はすごく上機嫌だった。
テンションが高い直美を見るのはめったにないもんね。
好きな人と一歩でも近づけたと思っている直美が連絡先の交換をしただけで緒方先輩の彼女風に振る舞う姿は容易に想像できる。
優越感に浸っているために、直美は自分のことを緒方先輩にふさわしい存在だと思っているんだ。
しかし緒方先輩は、直美のことを恋愛的な意味で好きではない。
なんということだ。
私たちの反応を軽くスルーして、緒方先輩は話を続ける。
「連絡先を交換しようと大坪さんから言われたときはびっくりしたよ。でも彼女の頼みを断ったら大坪さんを傷つけてしまうと思ったから交換したんだ」
「…………」
「だけど、それは間違ってたかもしれない。交換したあとの大坪さんは上機嫌で俺の彼女のように振る舞ってたのを見たから。俺、大坪さんのことを異性として見てるわけじゃないのに」
たしかに緒方先輩と連絡先を交換したあとの直美はすごく上機嫌だった。
テンションが高い直美を見るのはめったにないもんね。
好きな人と一歩でも近づけたと思っている直美が連絡先の交換をしただけで緒方先輩の彼女風に振る舞う姿は容易に想像できる。
優越感に浸っているために、直美は自分のことを緒方先輩にふさわしい存在だと思っているんだ。
しかし緒方先輩は、直美のことを恋愛的な意味で好きではない。
なんということだ。