水月夜
死に亀裂
結局、放課後になっても千尋は姿を現すことはなかった。
千尋が放課後になっても見つからないということは、昼休みにどこかに閉じ込められた可能性がきわめて高い。
彼女を追い込んだ犯人はもうバレバレ。
なのに、その犯人は千尋を探しにいこうとしない。
チラッと犯人であるヒロエと紀子のほうを見てみると、ふたりはコソコソとなにか話し合っていた。
ふたりはいつも直美のそばにいるのに、直美の姿はどこにもない。
直美はたぶん緒方先輩のところにめげずに行っているだろうけど、なぜヒロエと紀子は直美についていこうとしないのか。
不思議でたまらない。
会話をしているふたりのことが気になるが、どうせ私に話しかけてこないだろうと思い、視線を正面に戻してスマホを取りだした。
目的は、千尋へメッセージを送ることだ。
千尋は自分のスマホをポケットに入れて持ち歩いている。
だから、メッセージが届いたらすぐ気づくはずだ。
キュッと下唇を軽く噛みながら、千尋にメッセージを送った。