水月夜
叩かれてもぐるぐると頭の中で考える私に、直美が顔を真っ赤にして叫んだ。


「なんで猪狩を助けて一緒に帰ったんだよ‼︎ 私の親友なら、私がいじめたやつと一緒に帰ったりしないと思ってたのに……許せねぇ!」


直美が私の頬を叩いた理由は千尋と一緒に帰ったからというだけではない。


自分がいじめたターゲットを助けて逃した私の行動にも怒りを覚えたんだ。


直美のグループのメンバーは、私と直美を含めて4人。


そのうち、私以外の3人はいじめを平気で行う不真面目なタイプだ。


でも私は、誰かがいじめられているのを見たら、そのいじめに加わるのではなく、いじめを止めたいと思う。


人がしてはいけないことを簡単にする3人と、ダメなものはダメだと思う私。


どう考えても、このグループからはずされるのは私だ。


そのことを最初からわかっていたら、私は直美のグループに入らなかっただろう。


なんで私は無理して直美のグループのメンバーになったんだろう。
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