水月夜
これで、昨日の私の言葉の返事が終わったと思った。


しかし、雨宮くんの言葉は終わってなかった。


「ただのクラスメイトじゃないとはいっても、柏木が嫌いっていうわけじゃない。逆に好きなんだよ」


「好き……?」


「あぁ、俺が柏木に抱いてる気持ちは好意。しかも恋愛的な意味で。ずっと言いたかった」


耳に響いた単語を繰り返して問いかけたあとに返ってきた言葉は、まさに予想外だった。


憧れに近い存在だった雨宮くんが、私に対してずっと恋愛感情を抱いていたなんて。


驚きを隠しきれなくて、さらに目を見開いた。


「嘘……」


片手で口を覆ってしまう。


口を覆っても、疑問の言葉を投げかけることはできる。


「ずっと……?」


「……ずっと、高校入ったときから。入学式のときに見た柏木の笑顔にひと目ぼれしたんだ。その笑顔が、俺に一番に向けられたらいいと思った」


入学式のときに見た笑顔。


それはたぶん、同じクラスになった直美に『同じクラスになれてよかったね』と言ったときに見せたものだろう。
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