水月夜
だけど、自分が抱いていた心の叫びを伝えたら、次のターゲットにされてしまったんだ。


親友を失った気持ちは予想以上に大きい。


取りまきであるヒロエと紀子が私の気持ちをわかってくれたことは嬉しいけど、親友を失った気持ちにはおよばない。


でも……。


心の中でそうつぶやいたあと、私はポケットからスマホを取りだした。


突然スマホを手に取った私に首をかしげるヒロエと紀子。


疑問に思うふたりをスルーして、スマホの画面を何度かタップした。


画面に表示されたのは、スピーカーに似た黒くて小さいもの。


スピーカーが映った画面をふたりに見せる。


なぜふたりにスマホの画面を見せたのか。


それは……。


『紀子は私をひいきにしてくれてるとは思うけどさー、適当すぎるっていうか。頼りにならない感じ。ヒロエはウザすぎ。いっつも私についてくるもん。ひっつき虫かよって』


スマホから流れたのは直美の声。


雨宮くんが忘れものを取りに教室に来た日に聞いた声だ。
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