水月夜

報復


私がいじめられっ子になるのを回避しそうだと思ったその日の6限。


本来、6限は担任の先生の授業だったが、千尋の葬儀に参列しているので自習になった。


自分の席で黙々と配れたプリントをちゃんとやるクラスメイトもいれば、友達のところに行って自分の席を離れるクラスメイトもいた。


私を本当の意味で仲間と認めてくれたヒロエと紀子は、自分の席で自習していた。


もし私が直美に嫌われなかったら、ふたりは直美のところに行くだろう。


視線をヒロエと紀子から直美のほうに向ける。


直美は配られたプリントなど見向きもせず、スマホをいじっている。


私に敵宣言しても直美の様子は変わらなかった。


直美が簡単に様子を変えるわけないか。


小さく息をついてプリントに視線を落とす。


シャーペンを手に取り空欄をひとつずつ埋める。


しばらくすると、紀子が席を立ってヒロエを呼び、私の席にやってきた。


ふたりが来たことで、近くの席のクラスメイトが慌てて離れた。
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