水月夜
直美がナイフを取りだす前に落ち着いた様子を見せていたヒロエも、うーん、と小さくうなり声をあげている。


どうしよう。


右手を口の前に当てて考え込んだ直後、うなり声をあげたヒロエが得意げな笑みを見せた。


なにかいいアイデアが浮かんだのだろうか。


「梨沙、紀子。私、いいこと思いついた」


「いいこと?」


すぐに疑問をぶつける私。


「うん。あいつ……直美を殺そう」


得意げな顔をするヒロエの言葉が耳に届いたと同時に、ギョッと目を見開いた。


「こ、殺す……⁉︎」


なんで……。
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