水月夜
☆☆☆
葬儀が終わり、聖奈と一緒にファストフード店に寄っていた。
今は午後1時でお店の中はそこそこ混んでいたが、ところどころ空席も見られた。
自分たちが食べたいものを注文して会計を済ませたあと、トレーを持って2階へ上った。
席に座ってはぁ、とため息をついたとき、下から聞き覚えのある声が聞こえた。
聖奈も下から聞こえた声に気づいたらしく、少しだけ目を見開いた。
「ん? この声、誰だろう」
「そ、空耳じゃない?」
下から聞こえた声を空耳というには無理がある。