水月夜
向こうもすぐに私たちの視線に気づき、こちらにやってきた。


私と聖奈がここにいるとは思ってなかったのか、トレーを持った雨宮くんが驚きの声をあげた。


「柏木に矢畑、どうしてここに?」


「それはこっちのセリフ。雨宮くんたちこそ、なんでここに来たの?」


雨宮くんの言葉に素早く言葉を返したのは、私ではなく聖奈だった。


雨宮くんと天馬くんが驚きの表情を見せるのに対し、聖奈は落ち着いた口調で言葉を返したのだ。


「お、俺と天馬はどこか寄り道しようかって話をして、ここに来たんだけど」
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