水月夜
【東西南北の中でひとつだけ『水月夜』を飾ってもいい方角があるが、飾ってはいけない方角に飾ると、自分の周りで怪奇現象が起こる】


【具体的にどんな怪奇現象かは、毎日絵が変わる、夜にかなしばりに遭う、誰もいない場所のものが散乱する、部屋の電気が突然消える、暗い場所に真っ白な手が浮いている、とさまざま】


【飾ってもいい方角に飾った人はときどき絵が変わるだけで終わるが、不気味に見える人は『水月夜』に死が描かれなくても死ぬ】


自分の視界にそれらの言葉が映った直後、勢いよく立ちあがり、ソファでパソコンを操作している雨宮くんの肩を叩いた。


「ねぇ、雨宮くん」
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