水月夜
驚きを隠しきれない雨宮くんを軽くスルーして、新しい情報が書かれた場所を指さす。


「この部分、見てみて」


「これって……」


【具体的にどんな怪奇現象かは、毎日絵が変わる、夜にかなしばりに遭う、誰もいない場所のものが散乱する、部屋の電気が突然消える、暗い場所に真っ白な手が浮いている、とさまざま】


雨宮くんの目にその言葉が映ったのだろう。


「……千尋が死ぬ前、千尋と雨宮くんが私の家に来てくれたことあったよね」


「……あぁ」


「そのとき千尋が見せてくれたよね。『水月夜』を飾ったことで起こった現象の写真を」
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