水月夜
しかしすぐに『水月夜』から目をそらし、雨宮くんのほうに向き直った。


「太陽の光が当たらない方角だよ」


「つまり北ってことか?」


「うん」


「なるほど、北か……」


私が出した答えに、雨宮くんはなにかを考えはじめた。


だが、数秒ほどで再びこちらに視線を向けた。


「俺の推測だと、『水月夜』を飾ってもいい方角は北で、それ以外の方角には飾っちゃいけないんだと思う」


『水月夜』を飾ってもいい方角が北……?


はたしてそれは本当だろうか。


でも、雨宮くんの推測どおりだとすれば、納得がいく。
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