水月夜
隣街へ
直美とヒロエと紀子の葬儀があった翌日。
まだ6時になる前に起き、髪を整えて私服に素早く着替えた。
今日は学校を休んで、『水月夜』の作者が住んでいたという隣街に行く。
軽くメイクをして、お気に入りのバッグに財布を入れていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「梨沙、入るわよ?」
「うん」
ガチャッとドアが開き、お母さんが入ってきた。
お母さんはパジャマ姿で、眠そうな目を指でこすっている。
「梨沙……こんな朝早くに起きてなにしてるの? まだ6時半よ?」
「お母さん、今日学校休む。どうしても行きたいところあるから」