水月夜
☆☆☆
家を出てから15分後、待ち合わせ場所である駅のホームに着いた。
始発の時間ということもあり、ホームにはスーツを着た人たちがいる。
ふぅ、と息をついてベンチに座ると、誰かが私に駆け寄ってきた。
「梨沙ちゃん……!」
「久保さん……」
駆け寄ってきたのは私服姿の久保さんだった。
私が家を出たあと、家にいた久保さんに、一緒に隣街に行こうと誘った。
偶然にもこの日、久保さんは仕事が休みだったので、久保さんも一緒に行くことになった。
久保さんが私の隣に腰かけたタイミングで、久保さんに話しかけた。