水月夜
これほどかというくらいに目を見開く聖奈。


雨宮くんの言葉に食いついたようだ。


「ちょっと待って。千尋も体験したってことは、もしかして千尋、『水月夜』を持ってたの⁉︎」


「あぁ。それに、梨沙も『水月夜』を持ってる」


「えっ、梨沙も⁉︎」


聖奈が勢いよくこちらに顔を向けてくる。


私は、聖奈の表情に驚かないフリをした。


「うん……」


「そんな……梨沙が『水月夜』を持ってるなんて……」


私が『水月夜』を持っているという事実に、顔を青ざめる聖奈。


よほどショックを与える事実だったのか。


天馬くんも驚きの表情を私に見せている。
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