水月夜
「どうしてもやらなきゃいけないことってなに? 恭平くんには言えないこと?」


どうやら『水月夜』についてのことかをたしかめようとしているらしい。


久保さんを連れていく必要はない。


雨宮くんだけじゃなく、聖奈と天馬くんも一緒に入間に行くと言ってくれたから。


それに、これ以上久保さんに心配をかけるわけにはいかない。


「うん。だから今日のこと、絶対久保さんに言わないで。お父さんも」


私のハキハキとした声に、なにも言えないお母さんとお父さん。


ふたりは私を呆然とした顔で見つめていた。


しかし、お父さんがなにかを察したのか、私の肩を叩いた。
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