水月夜
「よし、わかった。今日のことは恭平くんには言わないようにしよう」


「あなた!」


「母さん、梨沙がハキハキとした口調で言うのはめずらしいと思わないか」


「めずらしいけど……」


「梨沙。学校に行かないことは俺が電話で言うから、お前はやるべきことを優先しなさい」


「うん、わかった」


お父さんの手が肩から離れたと同時に、私は玄関に向かって走った。


そして、靴をはいたと同時に、鍵を持って家を出た。


「いってきまーす!」


なぜか家にいたお父さんに心の中で感謝の気持ちを伝えつつ、私は駅に向かった。
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