水月夜
毎晩、夢の中に血まみれのマリコさんが……。
それは、『水月夜』を北以外の方角に飾った千尋でも体験していない話だ。
いったいなんで……。
「俺は思った。もしかしてマリコは、自分の絵を悪く思う俺を恨んでるんじゃないかって」
「…………」
「そう思ってから毎日心の中で『ごめん』って言ったけど、怪奇現象は続いた。怪奇現象に耐えられなくなった俺は、『水月夜』を誰かに渡そうと思ったんだ」
「…………」
「誰かって言っても、渡せる友達がいなかったから、数年前に近所になった梨沙ちゃんしかいなかったけど」
それは、『水月夜』を北以外の方角に飾った千尋でも体験していない話だ。
いったいなんで……。
「俺は思った。もしかしてマリコは、自分の絵を悪く思う俺を恨んでるんじゃないかって」
「…………」
「そう思ってから毎日心の中で『ごめん』って言ったけど、怪奇現象は続いた。怪奇現象に耐えられなくなった俺は、『水月夜』を誰かに渡そうと思ったんだ」
「…………」
「誰かって言っても、渡せる友達がいなかったから、数年前に近所になった梨沙ちゃんしかいなかったけど」