水月夜
でも、今さら後悔しても、もう遅い。


心の中でそうつぶやいたところで、聖奈と天馬くんが現れた。


「いたー! やっとで見つけた!」


「探したぞ、柏木に颯」


「ごめん、聖奈に天馬くん」


私がふたりに謝ったあと、下唇を噛んでいた久保さんがふっと笑った。


「……梨沙ちゃんのお友達がふたりも来たか」


その言葉にどんな意味があるのかわからない。


だが、久保さんの次の言葉で、私の体は鉛のように重たくなった。


「……俺が死なない代わりに、梨沙ちゃんが死ねばいいんだ」


その声は雨宮くん、聖奈、天馬くんの3人の耳にも届いた。
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