水月夜
「梨沙ちゃんって、バカみたいに他人に気を遣うよね。俺、最初に梨沙ちゃんと会ったときにそのことに気づいたから、梨沙ちゃんの性格を利用させてもらったよ」


「てめぇ……!」


私をバカにするかのような言い方で笑う久保さんに、顔を赤くして怒りをあらわにする雨宮くん。


しかし、久保さんはそんな雨宮くんをスルーして話し続けた。


「はぁ、梨沙ちゃんが他人に気を遣う性格でよかった。もし誰か大切な人が死ぬってことになっても、真っ先に自分が死ぬって言いそうだもんね」


「……っ」


久保さんのその予想は当たっている。
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