水月夜
“大坪さんたち3人”と言っていたから、まず直美は絶対入っている。


残るふたりはヒロエと紀子だろうか。


きっとそうだよね。


メッセージで私は悪くないと言ってくれたから、その“3人”の中に私は含まれていないだろう。


ふっと小さく笑ったあと、私はトーク画面を表示させて千尋にメッセージを送った。


【ありがとう、千尋。


私は気にしてないよ。


おやすみ、また明日ね】


画面内の【送信】をタップしたのを見て、私はスマホを机の上に置いた。


さて、そろそろ寝ようかな。


いつも登校ギリギリまで寝ているから、明日から余裕を持たせるために早めに寝よう。


あくびをひとつして、壁にかけられた絵を無意識にチラッと見た。


レースのカーテンから覗く闇のような夜景と相まって、よりいっそう不気味に見える。


やっぱりこの『水月夜』は不気味だな。


どうしてもきれいに見えない。


「お母さん……やっぱり感性おかしいよ」


ボソッと言った自分でも聞こえないほどの声でつぶやいた。


その瞬間、体中が寒さに包まれたような感じがして、気味が悪くなって素早くベッドにもぐり込んだ。
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