水月夜
直美に攻撃された女子たちは精神的に追いつめられ、精神病を患ったり心を閉ざしたりした。


その中には自殺した子もいた。


当時の担任の先生からそのことを告げられ、私は驚きを隠しきれなかった。


自分の悪口を言った子たちを精神的に追いやったのは本当なのかと直美に問いかけた。


驚く私に対して、直美はすまし顔でこう言った。


『だって私のこと悪く言ったんだよ。そういうやつらに仕返ししないと気が済まないし、気持ちよくならないし』


悪口を言われたら仕返しをする直美に少し嫌悪感を抱いたが、このときはまだ気持ちを言葉にすることはしなかった。


同じ手段を再び使うとは思わなかったから。


中学に入ってからも、直美は自分を悪く思う生徒たちに嫌がらせをしたりいじめたりした。


通っていた中学に、いじめを理由に自殺するほど心の弱い生徒がいなかったのでよかったが、中学でも先生たちにひいきされていた直美は注意されることなく過ごしていた。


注意したいのにできない。


それは中学の時点ですでに直美が誰も逆らえない存在になっていた証拠。
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