水月夜
だけど、表情を見ていると休んでいた理由が他にもあるのではないかと思ってしまう。
濃いクマの理由も、今千尋が話した葬儀だけではないとも思う。
私がじっと見つめていたことに気づいたせいか、千尋がこちらに目を向けることなく話を続ける。
「おばあちゃんの葬式が終わって家に帰ったら、なぜか家の前に知らない人がいたの。誰なのかって聞いたらその人、おばあちゃんの隣に住んでた人だったんだって。その人が私の姿を見るなり話がしたいから家の中に入ってもいいかって言ってきたんだ」
「…………」
「せっかく家まで来てくれたから追いだすのも気がひけるから中に入れたの。そしたらその人、おばあちゃんの家に飾ってたものを渡してきて。『これをおばあさんの形見だと思ってください』って言ったの。渡されたものがあまりにも不気味だったから眠れなかったんだよね……」
不気味なもの、か。
その不気味なものが家にあるせいで眠れなくなったのか。
顔色を見る限り、おばあさんの葬儀を終えたとは思えない顔だ。
普通なら身内の葬儀が終わったあと、自分が見せている表情よりは暗くても、未来に向かって進んでいこうという気持ちになるのではないか。
濃いクマの理由も、今千尋が話した葬儀だけではないとも思う。
私がじっと見つめていたことに気づいたせいか、千尋がこちらに目を向けることなく話を続ける。
「おばあちゃんの葬式が終わって家に帰ったら、なぜか家の前に知らない人がいたの。誰なのかって聞いたらその人、おばあちゃんの隣に住んでた人だったんだって。その人が私の姿を見るなり話がしたいから家の中に入ってもいいかって言ってきたんだ」
「…………」
「せっかく家まで来てくれたから追いだすのも気がひけるから中に入れたの。そしたらその人、おばあちゃんの家に飾ってたものを渡してきて。『これをおばあさんの形見だと思ってください』って言ったの。渡されたものがあまりにも不気味だったから眠れなかったんだよね……」
不気味なもの、か。
その不気味なものが家にあるせいで眠れなくなったのか。
顔色を見る限り、おばあさんの葬儀を終えたとは思えない顔だ。
普通なら身内の葬儀が終わったあと、自分が見せている表情よりは暗くても、未来に向かって進んでいこうという気持ちになるのではないか。