水月夜
こくんと小さくうなずき、右手で手招きをする。
手招きに気づいた千尋がこちらに顔を寄せたタイミングで口を開けた。
「千尋の家にある絵かどうかは知らないけど、私の家にも不気味な絵があるよ。なんていうか、暗い絵の具しか使ってない印象が強いの。その絵を見たお母さんはきれいだって言ってたけど、私にはどうしても不気味にしか見えないんだ」
「嘘……」
千尋の目がさらに見開かれる。
まさか自分の友達にも似たようなものが家にあるとは予想してなかったのだろう。
私だってそうだよ。
似たようなものがあるという時点で驚かずにはいられない。
と、そのとき。
教室のドアが派手に開いて、直美とヒロエと紀子が入ってきた。
3人の表情は明るかったが、とくに直美の表情がひときわ明るかった。
直美は私の姿を視界に入れたなり、パンパンと私の肩を激しく叩いた。
「梨沙、昨日はありがとね! 昨日、梨沙があれを持ってきてくれたおかげで助かったわ。マジ感謝してるよ!」
そう言って、直美は上機嫌で自分の席に座った。
手招きに気づいた千尋がこちらに顔を寄せたタイミングで口を開けた。
「千尋の家にある絵かどうかは知らないけど、私の家にも不気味な絵があるよ。なんていうか、暗い絵の具しか使ってない印象が強いの。その絵を見たお母さんはきれいだって言ってたけど、私にはどうしても不気味にしか見えないんだ」
「嘘……」
千尋の目がさらに見開かれる。
まさか自分の友達にも似たようなものが家にあるとは予想してなかったのだろう。
私だってそうだよ。
似たようなものがあるという時点で驚かずにはいられない。
と、そのとき。
教室のドアが派手に開いて、直美とヒロエと紀子が入ってきた。
3人の表情は明るかったが、とくに直美の表情がひときわ明るかった。
直美は私の姿を視界に入れたなり、パンパンと私の肩を激しく叩いた。
「梨沙、昨日はありがとね! 昨日、梨沙があれを持ってきてくれたおかげで助かったわ。マジ感謝してるよ!」
そう言って、直美は上機嫌で自分の席に座った。