ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「また会いたい。どうすれば会えるだろうと思っていた。そしたらある日、社内で偶然小春を見かけたんだ。あのときは本当に驚いた」
颯馬さんは、少しおかしそうに肩を揺らして笑った。私はその打ち解けた笑顔に見惚れて、頬に熱が上っていくのを感じる。
「見かける君はいつも楽しそうに仕事をしていて、自分の仕事じゃないことも率先してやっていた。あと、ロビーで小さなゴミを見つけて拾っていたり、壁の少し剥がれかけているポスターを直していたりもして。気配りができて、優しい。そんな輝く君を好きにならない理由がなかった」
その言葉に、私は目頭が熱くなった。
ささいな行動を見ていてくれた人がいた。しかもそれが、颯馬さんで。
感激で心がいっぱいになる。
「見合いの話が出た頃はまだ小春が花椿堂にいるって知らなかったから、相手を理由に断ったあと西留にそのことを色々と聞かれて、社内の人間じゃないし、どこにいるかもわからない。俺が一方的に好感を抱いていただけだからって答えたんだ。それがまさか、こんな形で君の耳に入るなんて思ってもみなかった。すまない、小春」
颯馬さんは悲しげに苦笑した。私は唇を噛みしめながら、首を左右に大きく振る。
颯馬さんは、少しおかしそうに肩を揺らして笑った。私はその打ち解けた笑顔に見惚れて、頬に熱が上っていくのを感じる。
「見かける君はいつも楽しそうに仕事をしていて、自分の仕事じゃないことも率先してやっていた。あと、ロビーで小さなゴミを見つけて拾っていたり、壁の少し剥がれかけているポスターを直していたりもして。気配りができて、優しい。そんな輝く君を好きにならない理由がなかった」
その言葉に、私は目頭が熱くなった。
ささいな行動を見ていてくれた人がいた。しかもそれが、颯馬さんで。
感激で心がいっぱいになる。
「見合いの話が出た頃はまだ小春が花椿堂にいるって知らなかったから、相手を理由に断ったあと西留にそのことを色々と聞かれて、社内の人間じゃないし、どこにいるかもわからない。俺が一方的に好感を抱いていただけだからって答えたんだ。それがまさか、こんな形で君の耳に入るなんて思ってもみなかった。すまない、小春」
颯馬さんは悲しげに苦笑した。私は唇を噛みしめながら、首を左右に大きく振る。