ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「颯馬さん、誰か来ましたよ」

「今はいい」

 颯馬さんは動きを止めない。

「でも……」

「放っておけ」

 彼の手がかまわず私の胸の膨らみをなでた。私はピクリと小さく跳ね上がるけれど、

「ま、待ってください!」

 と大きく声を上げた。

「やっぱり出てください」

 私が決まりの悪い顔で見上げながら言うと、颯馬さんは観念したように小さく息をつく。

「わかった。すぐ戻るから待ってて」

 私にキスを降らせた颯馬さんは、ベッドから下りて部屋を出ていった。私は身体を起こし、わずかに乱れた服を整える。

 雰囲気壊しちゃったかな。でも、このままじゃ気になるんだもん。
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