ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「常務。そして、奥様。この度は誠に申し訳ございませんでした。ご迷惑とは存じておりますが、どうしても直接お伝えしたくて参りました」
リビングに入るなり、西留さんは深く頭を下げる。ソファーに腰掛けた颯馬さんはなにも言わずその様子を眺めていた。
私はここにいない方がいいよね。
せめてコーヒーでも入れようかとキッチンに向かおうとするが、西留さんに「奥様もここにいらっしゃってください」と言われ、私は迷いながらも遠慮がちにカーペットの端の方へ座った。
「失礼いたします」と告げた西留さんは、颯馬さんの真正面のフローリングの床に正座する。そして、
「奥様。改めまして、この度は誠に申し訳ございませんでした」
西留さんは私を見て再び頭を垂れた。