ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
番外編
以前、小春がすぐに戻るとメモを残して出ていってしまったとき、どうして預金通帳を一緒に残していったのか聞いたことがあった。
「どうしてあのとき、通帳も置いていったんだ?」
「あっ……」
俺が問いかけると、コーヒーを飲みながらテレビを見ていた小春は困惑した笑顔を作った。俺が真っ直ぐに見つめると、小春は「えーっと」とはにかみながら話し出す。
「颯馬さん、前に心配して追いかけてくれたことがあったでしょ? だから、私の大切なものを預けていこうと思ったんです。私が悩んでも、あれを取りに颯馬さんのもとへ必ず戻りますって」
あのせいで余計に嫌な想像が頭を駆け巡ったというのに。あれが彼女が約束を果たすために俺に託していったものだと思うと、いじらしくて、嬉しくて、やはり俺は彼女のこういうところが好きだと実感した。
「どうしてあのとき、通帳も置いていったんだ?」
「あっ……」
俺が問いかけると、コーヒーを飲みながらテレビを見ていた小春は困惑した笑顔を作った。俺が真っ直ぐに見つめると、小春は「えーっと」とはにかみながら話し出す。
「颯馬さん、前に心配して追いかけてくれたことがあったでしょ? だから、私の大切なものを預けていこうと思ったんです。私が悩んでも、あれを取りに颯馬さんのもとへ必ず戻りますって」
あのせいで余計に嫌な想像が頭を駆け巡ったというのに。あれが彼女が約束を果たすために俺に託していったものだと思うと、いじらしくて、嬉しくて、やはり俺は彼女のこういうところが好きだと実感した。