ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
セキュリティが厳重なタワーマンション。ついふらっと外へ出てしまったけれど、私、このままじゃ部屋に入れないよね。どうしよう。完全にやってしまった……。
どうにもこうにもならず、とりあえずエントランスホールに戻る。コンシェルジュの女性と視線がぶつかり、私は「ははは……」と変な苦笑いを浮かべつつ、壁際にあるソファーめがけて逃げるように早足で歩いた。
不審者だと思われているかもしれない。
テーブルにスーパーの袋を置き、ソファーに腰掛ける。スマートフォンを見ると、まだ七時にもなっていなかった。眉尻が下がり、ため息が漏れる。
朝食を作ろうとして締め出されるなんて間抜けすぎる。穴があったら入りたい……。
顎が胸につくほど項垂れた。ふと、顔を横に向けて望める公開空地の木々たちをぼーっと眺める。
瞳に、落ちた葉が吹き付ける風に舞うのを映したそんなときだった――。
「小春!」
ホール内に響き渡る声に、私は驚いて飛び上がった。跳ねるように立ち上がり、エレベーターホールのある方へと振り返る。
すると、慌てた様子の颯馬さんがこちらに駆け寄っていた。
どうにもこうにもならず、とりあえずエントランスホールに戻る。コンシェルジュの女性と視線がぶつかり、私は「ははは……」と変な苦笑いを浮かべつつ、壁際にあるソファーめがけて逃げるように早足で歩いた。
不審者だと思われているかもしれない。
テーブルにスーパーの袋を置き、ソファーに腰掛ける。スマートフォンを見ると、まだ七時にもなっていなかった。眉尻が下がり、ため息が漏れる。
朝食を作ろうとして締め出されるなんて間抜けすぎる。穴があったら入りたい……。
顎が胸につくほど項垂れた。ふと、顔を横に向けて望める公開空地の木々たちをぼーっと眺める。
瞳に、落ちた葉が吹き付ける風に舞うのを映したそんなときだった――。
「小春!」
ホール内に響き渡る声に、私は驚いて飛び上がった。跳ねるように立ち上がり、エレベーターホールのある方へと振り返る。
すると、慌てた様子の颯馬さんがこちらに駆け寄っていた。