ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「だ、大丈夫です。もうすぐだなって思うと、緊張してきただけなので……」
私がぎこちなく笑うと、彼は一瞬無表情になってから、「そうか」と愁眉を開いた。不自然な間に、脳裏には疑問符が沸き起こっていく。
しかし、今の心持ちでは聞けるはずもなく、私は誤魔化すように「私たちも行きましょう」と足を踏み出した。だが、力強いなにかによって、私は強引に腰もとを引き寄せられる。
バランスを崩した私は、背後から包まれるように受け止められた。
じんわりと伝わってくる温かさに、すぐに颯馬さんに抱き寄せられたのだと気づいた。
「あ、あの……!」
身じろぐけれど、彼の両腕はがっちりと私を捕えていてビクともしない。
「……颯馬さん?」
堪らず見上げようと首を捻る。すると、私の頬を彼の髪が掠めた。肩にのしかかるわずかな重み。私のものではない息遣いを感じて、背筋に甘い電力が走る。
私がぎこちなく笑うと、彼は一瞬無表情になってから、「そうか」と愁眉を開いた。不自然な間に、脳裏には疑問符が沸き起こっていく。
しかし、今の心持ちでは聞けるはずもなく、私は誤魔化すように「私たちも行きましょう」と足を踏み出した。だが、力強いなにかによって、私は強引に腰もとを引き寄せられる。
バランスを崩した私は、背後から包まれるように受け止められた。
じんわりと伝わってくる温かさに、すぐに颯馬さんに抱き寄せられたのだと気づいた。
「あ、あの……!」
身じろぐけれど、彼の両腕はがっちりと私を捕えていてビクともしない。
「……颯馬さん?」
堪らず見上げようと首を捻る。すると、私の頬を彼の髪が掠めた。肩にのしかかるわずかな重み。私のものではない息遣いを感じて、背筋に甘い電力が走る。