ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「すみません……」

 リビングに戻り、少し前を歩く颯馬さんの背中に向かって告げる。

 だって、あんなふうにされたら自分が悪いことをした気分になってしまう。冬だって部屋は汚れるし、掃除をするのはあたり前のことなのに。

 でもそう言うと、だからルームクリーニングに任せればと言われてしまうのがわかっているから黙って口を噤んだ。

 せめて、掃除と料理だけでも死守したい。

 ソファーの背もたれにそっと手をついた颯馬さんが足を止める。
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