蛍火
「それは、どういう?」
「え?」
「俺と同じ好きなのか?それとも、ただの親友?」
「ゆう?」
「俺はもう、とっくにこぼれちまった」
ぴちょん、ぴちょん、ぴちょん──
それは止めどなく、そしてそれぞれ違うタイミングで落ちてくる。
その雫を受け止めている皿からはとっくに水が溢れていた。
一粒一粒落ちてくるものだから、溢れていることにしばらく気づけなかっただけで。
この音の正体は、優夜の心のなかにあったのだ。
「──好きだ、ましろ」
「ゆ、う、」
「気づいたのはさっきだけど。お前は俺が合わせてるとかなんとか言ってたが、もし仮にそうだとしてもそれは俺の意思だ」
俺が好きで、そうしたかったんじゃねえかな。
優夜はそうこぼしながら立ち上がった。ましろの顔が見れない。後ろめたくて?…いいや、そうではない。そうでは、なくて。