蛍火
第4章

「…ゆう、ごめんね」

ここに来てから1時間ほどでましろは目を覚ました。目をゆっくり開けた彼女に大丈夫か声をかけたら、ぼんやりとした声でそう言った。

「何で謝るんだよ、何も悪いことしてねぇだろ」

「びっくりさせたなって思って。あぁでも、その様子だともう聞いたみたいだね。黙ってたのは悪かったよね、ごめん」

「だぁから!人には言いたくないことのひとつやふたつはあるって言っただろ?だから別に怒らねえし、隠すくらい良いじゃねえか」

「うっ、で、でも…」

眉を下げてしょんもりしてるましろは、タオルケットで顔を隠しながら困ったようにぽつりと呟いた。

「……違うの、そうじゃなくて…。私から、伝えたかったのに、って…」

「えっ」

「だ、だから!私が言いたかったの!」
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