蛍火
翌日、さっそくましろに会いに行くと彼女はいたって普通だった。
顔を背けることもなく、いつも通り。ちり、と胸が痛むような気がしたが気にしないことにした。最初こそいつも通り過ぎる彼女の対応に焦れたものを感じたが、彼女がそうしたいと望むのならと、優夜も今までと変わらない接し方をすることにした。
好きだと口にすることはなかったし、そう思われるような特別扱いもしなかった。
その日は夜まで特に何もしなかったが、日が落ちた後彼女と家の庭の手入れをして終わった。彼女の家の庭は色々な花で溢れかえっている。
彼女の両親は穏やかで優しい人たちだったらしい。あまり覚えていないがふと思い出すのはいつも、優しく自分を呼ぶ母と優しく自分の頭を撫でる父の姿だと。
「思い出すのは…辛くないのか?」
「…辛くないと言ったら嘘になるかな。でも、幸せにもなれるから。
引っ越す前に何度かこの家に来たことがあるんだけど、庭で土まみれになりながら花を植えてたお父さんとお母さんは、とっても楽しそうだったよ。庭を作るのが夢だったらしくって」
顔を背けることもなく、いつも通り。ちり、と胸が痛むような気がしたが気にしないことにした。最初こそいつも通り過ぎる彼女の対応に焦れたものを感じたが、彼女がそうしたいと望むのならと、優夜も今までと変わらない接し方をすることにした。
好きだと口にすることはなかったし、そう思われるような特別扱いもしなかった。
その日は夜まで特に何もしなかったが、日が落ちた後彼女と家の庭の手入れをして終わった。彼女の家の庭は色々な花で溢れかえっている。
彼女の両親は穏やかで優しい人たちだったらしい。あまり覚えていないがふと思い出すのはいつも、優しく自分を呼ぶ母と優しく自分の頭を撫でる父の姿だと。
「思い出すのは…辛くないのか?」
「…辛くないと言ったら嘘になるかな。でも、幸せにもなれるから。
引っ越す前に何度かこの家に来たことがあるんだけど、庭で土まみれになりながら花を植えてたお父さんとお母さんは、とっても楽しそうだったよ。庭を作るのが夢だったらしくって」