好きとか言ってやんない。
はじまり
今日もそいつはやってくる。
「シノ君シノ君!…わっ!」
ードサ
俺を見つけては追いかけて、辿り着く前に勝手に転んで。
「ドジ」
手なんか貸してやらない。思い上がるのが目に見えてわかる。
こういうタイプの女は特に。
「あっ…ちょ、待ってシノ君!せっかく会えたのに〜」
転んで膝から血流してることに気づいているんだろうか。
どんなに冷たくあしらっても、ここまで食いついてくる女はこいつが初めてだ。