三十路令嬢は年下係長に惑う
鈴佳と、どこか名残惜しそうな間藤を見送って、水都子は一人、がらんとした自分の室内で、そのままにしておいたソファーベッドにことりと横になった。

 かすかなシャンプーの香りは弟の慎夜が使っているのと同じもののはずなのに、間藤の体臭と混ざり、少し違った印象に思えた。

 触れた髪の感触を思い出す。

 もし、あのまま、鈴佳がいなくて、二人だけだったら、どうなっていたのだろう。

 自分は、間藤に体を許してしまっていたのだろうか。

 ぼんやり考えながら、水都子はそのままうとうとと眠ってしまった。
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