今でもおまえが怖いんだ
「麻美ちゃんが死んだ時は、信じられないくらい泣いていたのに、先輩の時は全然泣けなくて、やっぱり人に対する思い入れには優劣があるんだと痛感して、麻美ちゃんが大好きだったことを思い出したらやっぱり耐えきれなくなって。でも何よりも苦しかったのは、そうやってグルグルと考えたって、誰にも理解されないかもしれないって不安が最後まで消えなかったことなんですよね」

あー、分かる。
そう一言だけ呟いて、私もポケットから煙草を取り出した。

以前同じ部屋に住んでいた人が置いて行ったセブンスターを咥えて、ライターで火をつける。

ヴァージニアと違って、モクモクと煙が充満しそうになって、慌てて窓を広めに開けた。
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