今でもおまえが怖いんだ
「ていうか聞いてよ、今回呼んだ坊さんがさ、何回忌かって間違えて読経続けちゃってたのね。止めようにもうちの親族品が良いものだから全然口をはさめなくて、最後の最後まで完走されちゃって。まあぼくも彼女との何ヶ月記念とかカウント間違えてフられた苦い思い出があるので一々そんなこと責めないようにしているけれどさ」

ツラツラと語られている間に私はやや後退気味だった。
それに宗徳さんも途中から気付いていたようで、オチをつけてから「法事、出たことないんだ」と聞いてきた。

「クリスチャンファミリー?」

その質問に私は無言のままでコクコクと頷いた。

少なくとも祖母の代からうちの家系はキリスト教徒で、私も幼児洗礼を受けて以降ずっと一クリスチャンとして信仰に誇りを持って生きてきたはずだ。

最近はまったくの自信を喪失しているけれど。
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