今でもおまえが怖いんだ
高速を降りたからもうすぐ着くよとメッセージが入った時、初めて私は不安を感じ始めていた。

直樹君から見て今の私って物凄く身勝手なのではないかなとか、自業自得と思われているのではないかとか、軽蔑されるだけならまだしも否定を受けたらどうしようとか。

そもそも全部おまえが悪いんだというあの人の言葉が本当なのだとしたら、助けなんて呼んだらいけなかったんじゃないのかなとか。

「ごめん、今、私すっぴんだしかなり汚いかも」

予防線を張るようにそんなメッセージを今さらながら送ってみた。
急に会うことが怖くなってしまった。

「俺もこの時間だから結構ボサボサだよ」

なんて直樹君はあくまでも優しかったけれど、それが当時はどれ程怖かったことだろう。

もうどうしようもなく惨めなのだと分かってほしかった。
これ以上は傷付きたくもなかった。

少しくらい休みたくて安心が欲しくて、誰かしらに責められるようなことをした自覚はあったけれど、その前に一息くらいはつかせてほしかった。

「今日は近くのネカフェにでも送り届けるから大丈夫だよ。難しい話は落ち着いてからにしよう。迎えに行くね」
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