ハツコイ 2
そこにいたのは…




「安原さん…」



呆れた顔で、私の腕を掴む男性社員の手を振り払う。





「や、安原…。なんだ、キミ彼氏いるのかよ。いるならいるって言ってくれなきゃ。」



一体、どのタイミングでそれを言わなければならなかったのか。




こんな人もプロジェクトメンバーの一員なのかと、ため息をつく。




その人がバツの悪そうな顔で去って行った後、安原さんにお礼を言った。




「すみません、助かりました…。」



「ごめんね、倉科。あいつ…営業部の加藤って言うんだけど、悪いやつじゃないんだ。ただ、すぐ悪酔いするから、困ったやつなんだよ。」



相変わらず、誰もが癒されるような優しい笑顔。



「安原さん、お知り合いだったんですね。」




「一応、同期だからね。」




安原さんと同期…




安原さんのこの落ち着きなんて、あの人に全く見られなかった。



こうも差がつくのか…としみじみ感じてしまう。


< 23 / 25 >

この作品をシェア

pagetop