きみに花束を贈る日
「危ない危ない。忘れるところだったわ」

「どうかしたんですか?」

わたしがそう聞くと先生はにっこり笑って話し始めた。

「あのね、高山さん園芸委員になったでしょう」

あぁと言いながら頷く。

新学期始まってすぐの頃、委員会決めで最後までなかなか決まらなかった園芸委員に、じゃんけんで負けたわたしがなってしまったのだ。

「今日の放課後から活動があるみたいなの。
3年2組の教室で集まりがあるから忘れずにね!」

先生はそう言うと、出席簿や筆記用具を持って颯爽と教室を出て行った。

...放課後買い物行こうと思ってたのになあ。


「綺ー彩!」

急に後ろからぽんと肩を叩かれびっくりして振り向くと、友達の美南がニコニコしながら立っていた。

「なんか頼まれ事でもされたのー?」

ううん、と首を振ると美南は不思議そうな顔をした。

「委員会。今日の放課後からなんだって」

「あー、委員会ね。園芸委員だっけ?」

「そうそう。なにするのかなー」

美南はうーんと唸った後、何かを思い出したのかパッと目を見開いて言った。

「水やり!」

「え、水やり?」

「そう。去年同じクラスだった園芸委員の子が言ってたの。水やりめんどくさーいって」


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