きみに花束を贈る日
廊下は少し開いた窓から入る風のおかげで空気が澄んでいる。

普段、他学年の教室に行く事はほとんどないから、なんだか緊張してしまう。

ガラガラと教室のドアを開けると、何人かの生徒はすでに座って待っている。

教卓の前に立っていた3年生らしい女の子がこっちを見てふわって笑ってくれた。

もしかしたらあの人が委員長かな。
そう思いながら席に着く。

しばらく待っているとぞろぞろ人が集まりだしてきた。

わたしの隣に座った男の子が最後だったようで、教卓の前にいる女の子が話し始めた。

「それでは、委員会を始めていきたいと思います。委員長の3年2組、篠沢玲奈です、よろしくお願いします」

髪をふわふわと巻き、ぱっちりしたお人形さんのような先輩はニコリと笑ってそう言った。

「早速ですが、プリントを渡すので後ろへ回してください」

前から回されたプリントを手に取り、名前を書いていると、隣の席から「なぁ」と言う声が聞こえてきた。

顔を上げて横を見ると、とても整った顔立ちの男の子がわたしを見ている。

「ペン、貸してくれない?教室に置いてきてさ」

「あ、いいですよ」

ペンを渡すとその人は「どーも」と言って、プリントにペンを走らせた。
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