いつかは売れっ子グラフィック・デザイナー

あのデザインのチューターをしてくれた人はどうしているだろう。彩香はふと思い出した。彼女は自分のオンラインポートフォリオを見せてくれた。そのアドレスをメモしたはず。
　彩香は過去のメールを探した。数ヶ月前にメールでやりとりした時、彼女はそのサイトのアドレスを教えてくれていた。早速そのサイトを開けて見た。
　レイアウトが変わっている…。
　カフェであった時に見せてくれた時に比べると、レイアウトだけでなくその内容もかなりアップデートされていた。

「すごいですね、これだけできれば仕事はすぐ見つかるでしょう」
「いやいや、全然ダメなんです。どれもこれも、とりあえずサンプルを作りました、ってだけに見えるんでしょう。もっともっとたくさん、いい作品を作らないと」
　あの時は、なんと否定的なことをいう人だろう、と彩香は思ったものだ。