『続・7年目の本気~岐路』
やっと辿り着いて開けたその部屋は……
「う”わっ! なんじゃこの部屋は……」
部屋一面がパステルカラー。
”ディズニーキャラクター”で
埋め尽くされている
「へへへ。可愛いでしょ~」
何気に落ち着かない……。
「う~ ―― あちぃー……」
「水持って来ようか」
「い ―― いらなぁい」
そう言うと行きかけた俺のシャツを
掴んだ。
え ――? なに?
酔いぼけて無意識にそうしたようだが、
急なその動作にピシッと、
俺の理性にヒビが入った音がした。
赤らんだ頬にかかる前髪を払う。
「ん~、どうしたん?」
別れて初めて気付いた。
未だ、キミに惚れてるって事。
居酒屋にいた時と今とでギャップが
有り過ぎて、
見た事ない一面に胸がざわつく。
顔、意外と豊満な胸、
引き締まった腹筋……と、
舐めるよう見下ろしていき ――
次に止まったソコは
何か、心なしかショーツの一部分に
小さいシミが出来ているように見える。
2人分の体重の乗ったベットがきしむ。
細い腰に腕を回し寝転んだ和巴を
抱きしめた。
ぎゅう――っと力を込める。
「あ、ね、ねぇ……どしたのー? 暑いんだけど」
「かずは……」
「ん?」
破局の原因はお互いのすれ違い。
そして、こいつを強い女だと
過信していた俺へ下された天罰。
「……きむら、さん?」
苗字で呼ばれ
”バっ”と体を離しベットから離れ
膝をついた。
「す、すまん……俺……」
足蹴りが飛んでくるか? と、
哀しい習性で体が勝手に身構える。
「もしかして、
私の事まだ好きだったりする?」
あんな抱き締め方をしたら、
そう思われても可怪しくないぐらい
腰に入っていた腕に残る体の感触。
(あ、ってか、俺のこと覚えてたのか?)
半身を起こした和巴が俺の顔を覗く。
「??……」
顔、近っ。
嘘をついても仕方ない事だった。
「あぁ。惚れてる。でも ――」
襲おうなんて考えているわけじゃないと
言いたいのに自分の行動がまるで
制御出来てない。
理性なんて性欲の前では無力だ。
「マジ、ごめん……」
「ふ~ん……で、ヤリたいの?」
「……は?」
和巴からの予想外の言葉に度肝を抜かれ
視線を上げると、
あっけらかんとした表情の彼女と
目が合った。
「ヤリたいの? セッ*ス」
「あ、それはその……」
今さっきまでぐでんぐでんだった癖に
視線がはっきりしている。
酔いが醒めているのか……?
って言うか、この状況で聞くか?
「あー、まぁ、そうかな」
「へ~ぇ……」
面白がっているようには見えない。
なんだろう、この試すような視線。
気持ち悪いなら、
もっとガツンと殴るなり蹴るなり
するだろう。
和巴はそうゆう女だ。
じゃあ、これは一体……?
試しに手を伸ばし和巴の頬に
触れてみる。
でもそこはやはり熱くて、
彼女の酔いは醒めてはいない。
それから和巴は視線を下ろしたが、
それは拒否というより……照れている?
さらさらの髪の毛に触れ
後頭部を持ちぐっと引き寄せてみた。
「な ――」
若干驚いたように何か言い、
それでも抵抗というには弱すぎる。
下から掬うように唇を合わせると
一瞬逃げようとしたが離さずに
強く押し付けた。
「ん……っ」
熱い ――
日本酒の強い匂い……でも、
それよりも甘い和巴の吐息。
やばい、止まらない。
「ちょ、きむ ――」
「告白出来なかったこと、ずっと後悔してた」
両腕を抑えつけ上から見下ろす。
「んなにサカらなくても、私は逃げないよ?」
ふっと微笑み応戦はしないのに
抵抗もしない。
今しかないと頭の中で行けという
サインが出る。
なんで抵抗しないのかわからない。
単に酔っ払って何も考えていないだけ
かもしれない。
もしそうだとしても
こんなチャンスを逃す気は毛頭ない。
それからはもうなりふり構わず
和巴の体を攻め立てた。